「ユダヤ人は、紀元前13世紀の出エジプトに始まり、バビロン捕囚、ローマ帝国による圧政、ヨーロッパで6世紀ごろから始まるユダヤ人への迫害などの人為的淘汰で、知力のあるものが生き残るという進化が起こったためです。」

「なるほど。人為的な淘汰でユダヤ人は頭が良くなったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。人間は哺乳類が発生したときからの潜在的進化の蓄積があるので、淘汰の圧力が加われば、人間も進化します。先ほど話したカタバミの進化と同じです。」

「ところで、水谷隼は、日本人なのに陰好きで卓球が強いですよね」と町会長。

「おっしゃる通りです。水谷隼は小腸経が緩んでいるのではなく、心経が緩んでいます。」

「小さいボールが苦手なタイプなのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。小さい頃からスポーツが万能のようです。」

「それでは、卓球のトップ選手は小腸経が緩んでいるという仮説は間違いだったのですか」と町会長。

「水谷隼の場合は、両親が卓球場を経営していて、幼児期から卓球を始めたため、例外的にできるようになったのだと思います。両親が卓球をするのを見ていれば、子供は一緒にやりたいですよね。」

「心経が緩んでいるタイプでも、幼児期からやれば、卓球がうまくなるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。筋力がないのでボールを強く打ちすぎて台から飛び出してしまうということがないからです。両親がやっていなければ、もっと簡単にできるスポーツをやっていたと思います。水谷隼の卓球の特徴は、相手が強打できるようなボールを平気で返すところです。動体視力が高いので、強打されても返せるという自信が現れています。」

「心経が緩んでいるので、小腸経が緩んでいる選手より動体視力が高いのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「他に、小腸経が緩んでいないトップレベルの選手はいるのでしょうか」と町会長。

「卓球の技術の開発に行き詰ったとき、必ず、動画を参考にする選手がいます。」

「そんな選手がいるのですか」と町会長。

「上田仁です。小腸経も心経も特別な緩み方はしていません。どうも、他の選手がする技を見て、すぐ同じことができる能力があるようです。どんな技術でも完ぺきにこなします。見るたびに、上田先生と思ってしまいます。」

「それって、もしかしたら生物学的な進化ですか」と町会長。

「そうかも知れませんが、小脳がモハメッド・アリのように経絡的に進化している可能性の方が高いと思います。」

2019/11/25